AGBT2015参加記(1)

この記事は某所のニュースレターとクロスポストです。

今年2月の下旬にアメリカ合衆国フロリダ州マルコアイランドで開催されたAGBT2015に参加してきましたので、参加の感想を書きたいと思います。この会議は名前の通り、ゲノムやバイオテクノロジーに関する技術の進展やその応用例について報告するのがメインの会議です。私は比較的最近になってから参加しはじめたので知りませんが、古くはサンガーシークエンサーの進展が発表されていたころからずっと同じ場所で開催している会議だそうです。454 に始まり Illumina (当時は Solexa) や SOLiD やら PacBio に ION torrent, Oxford Nanopore と、様々な新しいDNAシークエンサーや試薬のアップデート、ライブラリ調整やらそれらのアプリケーションや、光学マッピングを用いた DNA のマッピングやマイクロ流体技術を用いた1細胞シークエンシングなど、ゲノムやバイオテクノロジーに関連する実に様々な発表はこの会議でなされてきました。そういった意味で、今後のゲノミクスやその周辺の動向を考えるうえでこの会議での情報収集は欠かせないものになってきています。

昔からの参加者曰く、AGBT はおよそ200人程度の規模で運営していたようですが、「次世代シークエンサー」が騒がれ始めた頃からこの会議の参加希望者数はうなぎのぼりで会場のキャパシティーを遙かに超えてしまい、ある年にはとうとう参加希望者を募集してから数時間で席が全て埋まってしまいました。今では全体で千数百人の巨大なキャパシティーがあるのにもかかわらず、今では口頭発表あるいはポスター発表に採択されるか、抽選をくぐり抜けないと参加できない人気会議となってしまいました。このため私も最近は偶にしか参加できていない状況です。今後の分子生物学を牽引する技術の動向を考えるうえでこれほど大事な会議に日本人がほとんど来ていないのは憂慮すべき状況だなぁ、と昔から思っていたのですが、そういった意味では参加出来た人はなるべく情報を日本語コミュニティにも流した方が良いのだろうな、と思いこの記事を書いています。今年は運が良く、はじめて抽選に一発当選したので無事に参加することができたのでした。

AGBT2015 のまとめは英語圏ではすでに多くの blog でまとめられた記事があり、英語でゆっくり読める人にはそちらを直接読んでもらうほうが知識が深まると思いますので、いくつかまとめ記事を挙げておきます。