PDMSマイクロリアクターを使ったシークエンシング
Fluorogenic DNA sequencing in PDMS microreactors をざっと流して読んでみた。
シークエンサーの原理としては454にやや似ている。
- DNA増幅:する(約5000分子/クラスター)
- 塩基検出手段:蛍光
- 色数:1色(A, C, G, T でサイクルさせる)
- 蛍光検出手段:CCDカメラ
- フローセル作成方法:ソフトリソグラフィーで規則正しいウェルを掘る
- ウェルへのクラスター設置:ビオチン
- ウェルサイズ:3.8um(高さ)、5um(直径)
- ウェル間隔:7.5um(穴の中心間距離)
- クラスター生成:1um のポリスチレンビーズに emulsion PCR. (将来的には他の方法でもいいとのこと)
最も異なる点は、DNAのクラスターを放り込む、ソフトリソグラフィーで掘ったウェルに透明な蓋ができるという点だ。454だとシグナルは流れて消えてしまうが、こちらは蓋をしてからゆっくり反応させ、ゆっくり蛍光検出できるので潜在的に精度がずっと上げられるはずだそうだ。写真を撮り終わったら蓋を外して洗い流せるらしい。蓋がある分、454 や ION torrent のようにシグナルが流れて行ってしまわない=クラスターあたりの分子数が少なくて済み密度があげられる、というのが筆者の主張だった。
蛍光のもととなる物質はリン酸の方にくっつけてあって、ポリメラーゼが塩基を取り込んだ場合にのみフォスファターゼによる分解を受けて蛍光物質に変化する。つまり、バックグラウンドが原理上はゼロ、というのもこの方法の売りらしい。
リードの長さは Q20 でおそらく(Fig. 4 から外挿して)43bp ぐらい、とはいえ、Fig. 4 を見る限り、先頭 30bp を見て強烈にフィルタリングしているっぽいのでまだリード数/フローセルは低いんだろうなぁ、と予想。大事な数字なのに論文中に見当たらない。ざっと見なので、本当に書いていないかどうかはだれか読んでください。